ロードレーサーの脚

先日、ヒカル先生の知り合いの男性から、「ちょっとこの写真をみてくれ」と1枚の衝撃的な写真を見せられました。
これはちょっと「閲覧注意」の画像ですが、せっかくこのコラムをクリックされた皆さんにはお見せしたほうが良いでしょう。
ですが心の準備が必要な1枚ですので、その前に少々雑談を設けます。
ヒカル先生の趣味のひとつは自転車でプラプラする事ですが、ヒカル先生の自転車は競輪選手やロードレーサーが使用するロードバイクではなくクロスバイクです。
ロードバイクとクロスバイクとの違いは多々あるのですが、一番わかりやすい違いはハンドルの形状です。
ロードバイクのハンドルはドロップハンドルと言って、クネっと曲がっています。一方のクロスバイクのハンドルは真っ直ぐの棒状が一般的です。
ロードバイクはこんな感じの自転車です。

ロードバイクは速く走るために軽量化されており、その重さは7~8キロ位が多いです。基本的に軽いほど高価になります。
入門用のロードバイクでも10万円位はしますし、レース用のロードバイクであれば100万円を超えるモデルも珍しくありません。
本当はヒカル先生もロードバイクが欲しいのですが、ヒカル先生は全身磁気セットをゲットしなくてなりませんので、今は手を出ない葛藤を抱えております。
と、雑談はこの当たりで切り上げて、お待たせの衝撃的な1枚をお見せしましょう。
コチラです!

CNN.co.jp『ツール・ド・フランスの選手がレース後の「脚」画像を公開』
いかがですか。
脚全体に血管がボコボコと浮き出て、スゴイことになっていますね。
引き締まった脚の筋肉から男性の脚のようですが、まるでマスクメロンのような血管です。
ヒカル先生は思わず、「これは何かの病気の人?」と彼に尋ねました。
そしたらその彼はこんな一言を。
「これはプロのロードレーサーの脚」
この写真は2017年のツール・ド・フランスに出場した選手が自らインスタグアムに公開した写真であり、当時はけっこうな話題になったそうです。
この脚の持ち主は「ポリャンスキー」という選手ですが、23日間に渡るツール・ド・フランスの18日目のレース後の写真です。
ポリャンスキー選手はこの写真をアップして、「18日目のレースが終わって僕の足も少し疲れているみたいだ」とコメントしたそうです。
いや~、ヒカル先生のように趣味で自転車を乗っている人には信じられませんが、ツール・ド・フランスに出場するプロ選手にとっては、これで「少し」疲れた程度の脚なんですね。
それにしても皆さんだって「こんなに血管がくっきりとボコボコに浮かび上がって大丈夫なの?」と思われることでしょう。
ですが自転車マニアの彼は、「プロだったら普通」とあっさり一言。
たしかに下肢静脈瘤でもこの写真のように脚の血管がボコボコと浮き出ますが、命の危険はありません。
しかしながら下肢静脈瘤は脚のむくみやだるさ、こむら返りなどの原因になりますし痛みも生じます。
特に女性にとって見た目の問題もありますし、下肢静脈瘤を発症したらそれは軽視できない問題でしょう。
そこで今回のコラムは前置きが長くなりましたが、脚の静脈に関する疾患である下肢静脈溜について詳しく説明しますよ。
下肢静脈瘤とは

立ち仕事の後や女性はとくに、夕方になると脚のむくみに悩まされている方は多いでしょう。
むくみが酷くなると、脚に重りがついたように重く感じたり、皮膚が赤暗く変色、かゆみや脚のつりなどの痛みも生じます。
このようなむくみも下肢静脈瘤の症状ですが、下肢静脈瘤は脚の静脈を流れる血液がたまっていることで引き起こされます。
静脈は動脈から流れてきた血液の帰り道の血管ですが、脚の静脈は心臓まで押し上げることになり、常に重力と戦っています。
血液を押し上げる仕組みは、ふくらはぎの筋肉によるポンプ作用と血液の逆流を防ぐ静脈弁が担い、この2つの働きによって脚の血液は心臓まで戻ってこられるわけです。
ところが、立ち仕事は意外とふくらはぎの筋肉を使いません。
また座り作業でも特別に意識しなければ、ふくらはぎの筋肉は使いません。
そして女性は筋肉量やホルモンの関係もあり、妊娠・出産後、高齢になるほどふくらはぎのポンプ作用は弱まります。
さらに静脈弁はとても繊細にできており、非常に薄く壊れやすいのです。
このような要因により、血液が脚の静脈に溜まりやすくなって、むくみや下肢静脈瘤になってしまうのです。
血管が浮かび上がる下肢静脈瘤のことを伏在型(ふくざいがた)静脈瘤と呼ぶのですが、それ以外に3種類の軽症静脈瘤があります。
ひとつは血管がくもの巣のように皮膚に広がる「くもの巣状静脈瘤」、そして網目状静脈瘤、側枝型(そくしがた)静脈瘤です。

お茶の水血管外科クリニックのHPより引用
日本には下肢静脈瘤患者が1000万人はいると言われています。
そうすると12~13人に1人という割合になりますので、いつ発症してもおかしくない身近な病気と言えるでしょう。
でも下肢静脈瘤は「良性の病気」ですので、急激に悪化して命に関わるようなことはありません。
下肢静脈瘤の見た目の問題に目をつぶれば、治療の必要はないとも言われています。
ですので、突然に脚の血管がボコボコになってしまっても、その原因が下肢静脈瘤であれば血管が破裂するようなことはありません。
しかしこのまま下肢静脈瘤を放置していれば、「うっ滞性皮膚炎」から潰瘍を発症することもあります。
日頃の予防はもちろん、発症したらなるべく早めの処置や対策をしておいて損はないでしょう。
下肢静脈瘤とエコノミークラス症候群

下肢静脈瘤と似たような名前の病気に、エコノミークラス症候群と呼ばれる「深部静脈血栓症」があります。
エコノミークラス症候群は、脚の静脈内に発生した血栓が肺の静脈を詰まらせることで発症しますが、場合により死の危険がある怖い病気です。
下肢静脈瘤とエコノミークラス症候群は。どちらも脚の静脈に関わる病気ですのでついつい混同してしまいがちですが、全くの別物と覚えておいてください。
ちなみにエコノミークラス症候群の予防法は、下肢静脈溜の予防法としてそっくりそのまま使うことができますので、こちらもしっかりと覚えておきましょう。
余談ですが、ヒカル先生が2018年4月23日にお送りしたコラムで紹介した予防グッズがここでも役に立ってくれます。
こちらのコラムでは弾性ソックス・弾性ストッキングなどの他、ヒカル先生がお勧めのマッサージグッズなどを紹介しています。
下肢静脈瘤とエコノミークラス症候群は脚の静脈の血行不良が原因ですから、つねに血流を良くすることがポイントです。
このコラムを読み終わったら、例え旅行に行く予定がない人でも、『【エコノミークラス症候群】旅行に持っておきたい予防グッズ』をチェックしてみてくださいね。
まとめ

いかがでしたか。
今回のコラムは脚の血管がボコボコと浮き上がっている衝撃的な写真を紹介しましたが、いつものように楽しんでいただけましたら幸いです。
また脚の血管がボコボコと浮き上がる下肢静脈瘤を紹介しましたが、これは2足歩行の人間の宿命として避けられないかも知れません。
静脈の弁は一度壊れたら修復しませんので、下肢静脈瘤を根本的に治すためには手術を選択する必要があります。
手術と言っても最近は医療技術も上がりましたので、日帰り可能な手術で済む場合もありますし、薬剤やレーザーで30分も掛からないで終わる治療法も出てきました。
ですが、軽い病気なら治療すれば治るとしても、病気にならないに越したことはありませんよね。
そのためには、常日頃から血行促進に取り組むことが一番です。
ちなみにヒカル先生に衝撃的な写真を見せた彼も、ロードバイクを乗ったあとは電気磁気治療器によるケアを欠かしません。
そのお陰かトレーニング不足かは分かりませんが、彼の脚はぜい肉に覆われていて、まったく血管が浮き上がってはいませんでしたよ。(笑)