ぎっくり腰の痛み

健康だけが取り柄のヒカル先生は、40年以上の人生において一度も入院したことはなく、救急車のお世話になったこともありません。
ですが一度だけ、真剣に救急車を呼んでもらうべきかと考えたときがあります。
もうかれこれ20年近く前の話になりますが、ヒカル先生の身に魔女の一撃と比喩される「ぎっくり腰」が襲ってきたときです。
その当時のことは、今でもハッキリと覚えています。ヒカル先生は自宅のお風呂掃除をやっていました。
無精者のヒカル先生は入浴しながら掃除をするのですが、ただいまの季節のように真冬の寒い夜です。
湯船でしっかりと身体を暖めていても、お風呂掃除の間に身体が冷えてしまったのでしょう。
しゃがんだ体勢から立ち上がるときに、背中から腰に掛けてピリっと電撃のような痛みを感じました。
お風呂掃除を切り上げ、そそくさと服を着ることにしたのですが、次の電撃が腰と背中に襲ってきました。
服はなんとか着ることが出来ましたが腰に力が入りません。今にも倒れそうなほどです。
「これは早く横なって寝るしかない!」と、這うようにベッドにたどり着きましたが、痛みはドンドン増すばかり。
ぎっくり腰に有効と言われる、体を横にして背中を丸めるエビの姿勢で耐えていても、痛みと冷や汗が止まりません。
「まさか一生寝たきりの状態に、いやこのまま死んでしまうかも」と、不吉な想像が頭をよぎります。
時刻は真夜中、ヒカル先生は迷いに迷ったあげく「救急車を呼んでくれ・・・」と言葉を発しました。
ですが声すらまともに発せない状態であり、同居している家族の耳にその言葉は届きませんでした。
歯を食いしばりながら痛みに耐え続け、そのまま朝を迎えてしまいました。
でもこの頃になると少しずつ痛みは軽くなり、3日ほどの安静を要して仕事に復帰することが出来ました。
このヒカル先生のぎっくり腰体験談は、ぎっくり腰経験者ならとくとご理解いただけることでしょう。
そこで今回ヒカル先生は当時の経験をもとに、ぎっくり腰で救急車を呼ぶことの是非を考えていきます。
ぎっくり腰で救急車

ヒカル先生が言うのもなんですが、結論から言うとぎっくり腰で救急車を呼ぶことは原則NGです。
ぎっくり腰で救急車を呼んでも法律違反ではありませんが、救急車や救急外来は、生命に関わる病人や怪我人の対応が本来の仕事です。
それに冷静に考えてみれば、救急車で病院の救急外来に運ばれたとしても、ぎっくり腰の場合はお医者様が出来ることは限られています。
例えば、炎症している患部を冷やす、冷湿布を貼る、痛み止め薬を処方するなど、自宅でも十分に可能な処置に留まります。
またお医者様は、ぎっくり腰は時間が経過すれば自然に痛みが治まることをよ~くご存知ですから、どうしても処置は後回しにされるでしょう。
結果、病院のベッドが空くまで長時間の待機となれば、自宅のベッドで安静していた方がずっと楽かも知れません。
しかしながら、ぎっくり腰の痛みは強烈ですから、この痛みと不安の中で冷静に対処するのは至難の業です。
とくに一人暮らしの方や真夜中の時間帯であれば尚更でしょう。
このような場合に、119番の救急車以外に24時間相談できるサービスがあれば心強いと思いませんか。
ヒカル先生も後から知ったのですが、実はあるんですよ。
それが「救急相談センター」です!
東京都の場合、「#7119」で繋がり、お医者様、看護師さん、救急隊経験者で構成された相談医療チームが24時間365日対応しています。
ここに相談すれば、専門家が救急車を呼ぶべきか判断をしてくれますし、適切な指示もしてくれます。
なお、救急相談センターの名称は都道府県により異なり、電話番号も異なりますので、下記サイトでお住まいの窓口をチェックしておきましょう。
全国の一般救急電話相談センター窓口はコチラのサイトで確認できます。
ぎっくり腰の予兆と予防

ぎっくり腰は重い物を持ち上げたとき、急な動作をしたときに起こりやすいのですが、何気ない動作がきっかけで発症するケースも少なくはありません。
また、ぎっくり腰の正式名称は「急性腰痛症」であり、突然に起こった腰痛の総称です。
しかしながらぎっくり腰は偶然の産物ではなく、何かしらの予兆があるものです。
ぎっくり腰は「筋肉の捻挫」であり、筋肉が許容できる負荷を超えたときに痛みが爆発します。
となれば、筋肉の疲労に注意して適切なケアをしてあげれば、リスクを最小限に抑えることは可能ですよね。
ぎっくり腰には下記のような予兆があります。
・腰回りの筋肉が硬く張っている
・背中の筋肉が痛む
・太腿の筋肉が痛む
・足を上げづらい、つまずきやすい
つまり背骨周りの筋肉と骨盤、それに腰からお尻を通って足に繋がる筋肉や坐骨神経などに疲労が溜まっているときが危険なのです。
さらに運動不足からの筋力低下、長時間の同じ姿勢による筋肉硬化、脚を組む等の歪んだ姿勢が拍車を掛けます。
ぎっくり腰を予防するためには、筋肉の疲労を蓄積させないことです。
腰が抜けそうな感覚が起こっていればぎっくり腰のカウントダウン、立ち上がる動作やくしゃみなどの日常動作でさえ引き金になりかねません。
まずはお風呂でしっかりと身体を温めて、睡眠を十分にとりましょう。
そしてストレッチや有酸素運動のウォーキングで筋肉を動かして、身体をほぐしていきます。
座る姿勢は腰に大きな負担が掛かりますから、長時間の座りっぱなしにならないよう、定期的に立ち上がるクセをつけましょう。
デスクワークでどうしても座る時間が多い人ならば、予防のためにコルセットを巻いておくのも手です。
ですがコルセットは腰を支える反面、腰部の筋肉が衰えてしまう危険がありますから、仕事中だけに使うなど制限を設けてください。
このような予防ケアを続けていくと、筋肉に蓄積した乳酸などの疲労物質が血流によって洗い流されていきます。
なお、重い物を持ちあげるときは体に大きな負担が掛かります。腰を前かがみにして持ち上げるのではなく、脚の力で持ち上げるようにしましょう。
まとめ

魔女の一撃と呼ばれるぎっくり腰、ヒカル先生はこの時のぎっくり腰によって慢性的な腰痛を抱えてしまいました。
しかしながら、もう二度とぎっくり腰の苦しみを味わいたくはありません。
でも、この悲痛な思いがヒカル先生の健康マニアへのきっかけになるとは、当時は思いもよりませんでしたが。
ヒカル先生がぎっくり腰を発症した当時、インターネットは今のように発達していませんから、人づてに評判の良い接骨院を数件訪ねました。
その中で電気磁気治療器を扱っているところがあり、思い切って一台購入してみたことで、ヒカル先生の世界が大きく変わったのです。
電気磁気治療器は、筋肉のコリをほぐし血行促進をしてくれますから腰痛にはもってこいの一品です。
お陰様でその後ぎっくり腰を発症することなく、20年近く前に購入した電気磁気治療器もいまだ現役で頑張ってくれていますよ。
それではこの当たりでお終いとなりますが、最後の余談として、なぜ「魔女の一撃」と比喩されるのか簡単に触れておきましょう。
最初にぎっくり腰の事を魔女の一撃と呼び始めたのは、15~16世紀のドイツです。
当時ヨーロッパ諸国では、あの悪名高い魔女狩りが行われていました。
もちろん悪さをする魔女など存在しませんが、カトリックにとって不都合な人達が魔女とされ、多くの人が犠牲になった歴史があります。
そのうちにカトリックに関係ない不都合な出来事(病気や飢餓など)も、全て魔女の仕業と考えられるようになっていきました。
それでぎっくり腰も魔女の仕業だと騒ぐ人が現れ、ヨーロッパ全土から海を渡ったアメリカや日本まで「魔女の一撃」と伝わってきたそうです。
ぎっくり腰と魔女は全く関係がありませんが、その痛みは世界共通で恐れられていると言うことでしょうね。