12月なのに蜜蜂が

先日、ヒカル先生は地元でも特に自然豊かな地区までサイクリングして、原生林が残っている自然公園を散歩していました。
ここは千葉県と茨城県の県堺となる日本有数の大河である利根川の近く、地元の人でもあまり知られていない自然公園です。
公園と言ってもきれいに整備されているとは言えず、季節も冬ということもあってか、ヒカル先生の他には数人しか見当たりません。
ですが起伏も少なく、池の周りにはちょっとした遊歩道もあり、自然を感じながら散歩をするにはとても良いところなんです。
そしてここでヒカル先生、あるちょっとした生き物と遭遇してしまいました。
と言ってもクマやイノシシと言った危険な動物と出会ったわけではありません。
実は・・・ヒカル先生、蜜蜂の群れと遭遇してしまいました。
しかもその中には女王蜂もいたのです。
今年は暖冬、さらにここ千葉県は比較的暖かい地域とはいえ今は12月。
この時期になれば蜂は死ぬと思っていたヒカル先生は、蜜蜂の群れ、しかも女王蜂とも出会うなんてとても興味を抱きました。
しかしヒカル先生は、虫の生態については専門ではありません。
ここはスマホを片手に蜂の生態を調べてみたところ、やっぱりスズメバチの仲間は冬になると死んでしまいます。
でも、なんと蜜蜂は越冬するんですって。
ヒカル先生がみた蜜蜂達は、これから暖かい巣をみつけて越冬する準備をしていたみたいです。
そこで今回のコラムでは蜜蜂の生態を詳しく・・・は別のサイトにお任せするとして、蜜蜂に刺されてしまったときの対処法をお送りすることにしましたよ。
蜜蜂に刺されてもアナフィラキシーに?

蜜蜂達が花から甘い密を集めたハチミツやローヤルゼリーは、蜂の子を育てるだけではなく、私達にとっても栄養たっぷりの健康食材です。
また植物は蜜蜂によって受粉を担っているものも多く、私達人間だけではなく生態系全体にとっても蜜蜂は多くの恩恵をもたらします。
とはいえ蜜蜂でも蜂はハチ。
蜂の被害として最も怖いのは、アナフィラキシーです。
ちなみに蜂を始めとする毒を持った生物に刺されることをアナフィラキシーと呼ぶのではありませんよ。
アナフィラキシーは呼吸困難や意識障害などを引き起こす重度の急性アレルギー反応のことです。
また、急激な血圧低下などの循環障害が起こるさらに危険な症状は、アナフィラキシーショックと呼ばれます。
主なアナフィラキシーによる症状
軽度: 吐き気、発汗、めまい、しびれ等
中度: けいれん、頭痛、嘔吐等
重度: 呼吸困難、意識障害、血圧低下、失禁等
スズメバチの危険性はヒカル先生が語るべくもないですが、蜜蜂はおとなしい有益な蜂です。
刺されたとしても毒性自体は弱く、人間の生命を脅かす力はありません。
ですが、アナフィラキシーに関しては毒の強さは関係ありません。
皆さんの中には、「蜂に2回刺されるとアナフィラキシーになる」という事を聞いたことがある方もいるでしょう。
蜂に刺されると蜂の毒が体内に回ります。
蜂の毒は一種のタンパク質ですが、人体に備わる防衛システムである免疫の仕組みにより異物と認識されます。
そうすると人体は、次に同じ異物がやってきた時のために抗体と呼ばれる防御網を配備するわけですね。
しかし蜂の毒に関しては、抗体=蜂毒アレルギーとなり逆効果を生んでしまいます。
そのため体内に抗体ができた人が次に蜂に刺されると、抗体と蜂の毒が結合してしまい、大量の化学伝達物質を放出することによるアナフィラキシーを発症してしまうのです。
なお、蜂に刺されると必ず抗体ができるとは限りませんが、蜂に刺される回数が多ければそれだけ抗体ができる危険は高まります。
なかには「何度も密蜂に刺されて身体に耐性が出来ているから平気」という人もおりますが、このような人は例外と考えましょう。
また、このような人であっても蜂に刺されればやっぱり痛いはずです。
ヒカル先生は蜂毒に耐性ができたとしても痛いことは大嫌いですから、刺されても平気とはとても思えませんよ。
蜂に刺されてから一月以上経過してからでないと正確な結果は得られませんが、抗体ができていないかと心配な方は皮膚科で検査をしてみましょう。
全ての皮膚科で検査を実施しているとは限りませんので、事前に医療機関に確認しておくと良いですね。
蜜蜂に刺された時の基本対処

蜂に刺されてしまったときの対処は基本的にどんな蜂でも同じです。
まずは蜂から離れること。
蜂が攻撃してくる大きな理由は、「巣を守るため」です。
私達は知らず知らずのうちに巣に近づいてしまい、蜂は私達を危険物と認識して攻撃を仕掛けてくるのです。
また攻撃を仕掛けた蜂はフェロモンを巻き散らして仲間を呼び寄せますから、一刻も早くその場を離れてください。
ここで気を付けることは蜂を刺激しないこと。
パニックを起こして大声を出したり、腕を大きく振り回す行為は、蜂を刺激する行為になりますから蜂は追いかけてきます。
ここは身体を小さくかがめ、静かに速やかに後退することがポイントです。
そして安全な場所まで避難したら、刺された箇所を確認します。
刺した蜂が蜜蜂の場合、皮膚に蜂の毒針が刺さっていることがあります。
しかし、これを指でつかんで取り除くと、毒を体内に押し込んでしまう危険があります。
本来ならばピンセットや毛抜きを使って、針の根本をつまんで引き抜くことが理想です。
でも昆虫採集が目的ならばこれらの道具を持っているかも知れませんが、ちょっとした散歩などでは持ち歩いていませんよね。
こんな場合は財布に入れてあるカード類などを代用して横に払い落とすとよいですよ。
次に傷口の洗浄です。
蜂の毒は水溶性ですので、毒を搾り取るように水で洗い流すと効果的です。
患部を冷やす事で痛みや腫れも和らぎますので、なるべく大量の水で洗い流しましょう。
なお、刺された毒を口で吸い出す行為は、毒が口腔から体内に侵入してしまう恐れがありますのでNGです。
また「蜂に刺されたらおしっこを掛けると良い」という話は信じてはいけません。
この話は尿に含まれるアンモニア成分を期待してのことだと思いますが、蜂毒はアンモニアで中和することはありません。
逆に傷口からバイキンの侵入を誘発してしまうことがあります。
ここまでの応急処置をしたら、抗ヒスタミン剤が含まれた虫刺され薬を塗ります。
そして患部は氷や保冷材などで冷やして安静にして下さい。
このような応急処置で耐えられる程度の痛みや腫れになれば、数日もすると治まってきます。
しかし、全身に湿疹や腫れが出たり、強い吐き気やめまいなどを感じたら、速やかに医療機関を受診してください。
刺した蜂が蜜蜂ではなくスズメバチやアシナガバチであれば、事態は一刻も争います。近くの人に助けを求め、救急車を呼ぶようにしましょう。
まとめ

いかがでしたか。
今回のコラムは蜂に刺された時の対処法をお送りしましたが、一般的に蜂の被害は8月ころが多く、12月ともなればほとんどの蜂は死んでしまいます。
しかし蜜蜂は越冬をしますので、12月であれば越冬場所を探している蜜蜂達に出会うことがあります。
もちろん蜜蜂は温厚で積極的に攻撃を仕掛けることはないのですが、越冬前や越冬後は普段よりも攻撃性を増していますので注意をしなくてはなりません。
また蜜蜂はスズメバチなどと違い、針を刺すと身体が千切れて死んでしまいます。
つまり蜜蜂にとって針を刺すことは、自らの命に代えても守る行為なのです。
ですので、一番良い対処法は蜂の群れや巣に近づかないことです。
もちろん、先日ヒカル先生が蜜蜂の群れと遭遇したときも、蜂達を刺激しないようにその場からゆっくりと離れましたからね。
それでは今回はいつものコラムとはちょっと毛色が違いましたが、次回は抗体ができてしまった場合、つまり蜂毒アレルギーの治療法についてお送りします。
ちょっとだけネタバレすると、アレルゲン免疫療法または減感作療法といって、根本的にアレルギー体質を改善する方法です。
これは蜂毒アレルギー者だけではなく花粉症などのアレルギー症に悩まれている方にも必見の情報ですよ。