国民皆保険制度

皆さん、病気や怪我で初めて病院を受診するときに、必ず受付に出すものがありますよね。
そうです。保険証です。
日本では、いざというときに安心して医療を受けられるように、すべての人が医療保険に加入する必要があります。
これは、「国民皆保険制度(こくみんかいほけんせいど)」と呼ばれ、「誰でも」「どこでも」「いつでも」保険医療を受けられる体制が確立しています。
保険証は保険料を納めることで私達の手元に届きます。
そして、私達が病院で支払う医療費は、最高でも3割を自己負担するだけで医療を受けられます。
でも、病院や歯医者さんで、こんなことを言われたことはありませんか?
「この治療は保険が効きません。」
「自由診療なので全額自己負担になります。」
・・・保険料を納めているのに保険が効かない?
・・・なんで全額自己負担なの?
と、疑問を持ってしまったことでしょう。
今回のコラムでは、こんな医療保険の疑問について、ヒカル先生がわかりやすく解説していきますよ。
医療保険の種類

では、まずは医療保険の種類からざっと説明しましょう。
医療保険は対象者別に加入する保険が決まっており、大きく分けると次の5種類があります。

「共済組合」は公務員や学校の先生が加入する保険、「船員保険」は船員さんが加入する保険です。
この2つは省略させてもらい、今回は「健康保険」、「国民健康保険」、「後期高齢者医療制度」の3つを中心に説明しますよ。
ヒカル先生は会社員ですので、一番上の「健康保険」に加入しています。
ですが、ヒカル先生が会社を定年退職した場合は、加入している健康保険を返却しなくてはなりません。
そして、「定年したからちょっとゆっくりしていようかな」という場合は、市町村の役場に行って「国民健康保険」に加入することになります。
※退職後も在職時に加入していた保険に2年間は加入できる「任意継続被保険者制度」という制度もあります。
このように、私達は国民皆保険制度により必ず保険に加入することになります。
次に、表の一番下にある「後期高齢者医療制度」ですが、こちらは少し特徴的です。
基本的には75歳以上の方が全員加入する保険です。
後期高齢者医療制度は、2008年4月に従来の老人保健制度から切り替わりました。
病院での医療費の支払いですが、窓口でお金を支払うことはありません。
しかし、医療費が無料というわけではなく、自己負担分(原則1割、一定以上の所得がある方は3割)が公的年金から差し引かれる仕組みになっています。
もちろん保険料も納めるのですが、公的年金から自動的に差し引かれます。
このように大きく分けると5つに分かれている医療保険ですが、病気や怪我で働けない期間があった場合などの保障に違いがみられます。
ですが、医療費の自己負担割合は、加入している医療保険によって違いはありません。
下記の表の通り、年齢と所得によって自己負担割合が決まっています。

保険が聞かない治療とは

ざっと医療保険の種類を説明してみましたが、次は保険証を提出しても保険が適用されない場合を説明します。
下記の3つはとても大切な用語ですので、この際覚えてしまいましょう。
1)保険診療:医療保険の一部負担で受けられる診療
2)自由診療:医療保険が適用されず全額自己負担になる診療
3)混合診療:ひとつの病気治療に保険診療と自由診療の診療を行う診療
1番の「保険診療」とは、病院の窓口で保険証を提出することで保険が適用されて、わずかな自己負担で済むありがたい治療です。
問題は、今回のタイトルに一部にもある「保険が効かない治療」です。
2番の「自由診療」は、上の枠の説明にもあるように全額自己負担になります。
では、3番の「混合治療」は保険が効く・効かない、どちらだと思いますか?
…どうです。けっこう迷ってしまったでしょう。
実は、答えは「効いたり効かなかったりする」なんです。
これを説明すると、もう一本別のコラムができてしまうくらい複雑ですので、今回はかいつまんで簡略に説明しましょう。
日本では、ひとつの病気の治療に保険診療と自由診療を併用する混合治療は、禁止されています。
そのため、混合治療の費用は、本来ならば保険が効く検査や診察料であっても全額自己負担となってしまうのです。
つまり、「保険が効かない」のです。
しかし例外があって、厚生労働大臣が定める「評価療養」と「選定療養」であれば混合診療を認められており、通常は保険診療となる部分のみ保険が適用されるのです。
つまり、「保険が効くこともある」のです。
どうですか?
なるべくわかりやすく説明したつもりですが、なんとなくご理解いただけたでしょうか。
…やっぱりよくわかりませんよね。
では、この当たりはまた別の機会で詳しくお送りするとして、「評価療養」と「選定療養」の内容ついて簡単に触れておきましょう。
<評価療養>
現在は保険適用ではないものの、将来的に保険適用になることを前提として、評価している最中の治療方法のことです。
<選定療養>
患者自身の希望による受ける特別な治療方法です。
良く聞く言葉である「先進医療」もこの選定療養に含まれます。
保険が効かない治療≪自由診療≫

混合治療の説明でちょっと頭が混乱してしまった方もいらっしゃると思いますので、次はシンプルに保険が効かない自由診療の例をあげてみましょう。
<健康診断、予防注射、人間ドック>
職場で受ける健康診断の費用は会社が負担してくれますが、実は保険が適用されません。
予防接種も病気治療ではなく自発的な予防となり、保険適用外です。
人間ドックも予防接種と同様に自発的な予防となり、保険が適用されません。
ですが、自治体が実施する健康診断などを利用すると安く受けられることもありますから、大いに利用しましょう。
<美容整形、特殊な歯の治療>
基本的に美容に関するものは保険が適用されません。
歯を白くきれいにすることも美容行為となり保険外になります。
しかし、歯の治療や歯列矯正の目的によっては医療費が控除されることもあります。
このような場合は領収書等を添えて確定申告で申告しましょう。
<妊娠・出産、経済的理由による中絶手術>
妊娠や出産は病気ではないので保険適用外です。
しかし、医療保険には出産一時金や出産手当金といった保険給付制度がありますので、実質的な負担は軽減されます。
なお、経済上の理由にて中絶する場合も保険は適用されません。
<労災保険が適用されるとき>
仕事中に病気や怪我をした場合は、原則として医療保険ではなく労災保険が適用されます。
これは労災保険と医療保険の2重取りにならないための処置です。
他にも入院したときに個室を希望する場合、日本では未承認である抗がん剤を使用する場合も自由診療となります。
まとめ

いかがでしたか。
今回、医療保険について取り上げましたが、いつもよりも説明が多くてちょっと退屈な話でしたでしょうか。
でも、普段何気なく利用している医療保険ですが、今回初めて知った話もあったと思いますのでご容赦くださいね。
また、医療保険はもしもの場合のセーフネットでありとっても大切な制度ですので、病院や行政任せにするのではなく、最低限の知識はもっておきたいものですね。
では、今回の最後となりますが、ヒカル先生がおススメしている磁気治療は、はたして保険的にどのような扱いになると思いますか?
実は・・・自由診療です。
磁気治療は古くからある治療であり、接骨院や整形外科だけではなく、内科、眼科、耳鼻科、脳神経外科、アレルギー科等で様々な病気治療に活躍しています。
ですが、残念ながら日本の保険体制では自由診療であり、治療を受ける為には相当な金額負担が発生します。
しかし、中には格安とも言える金額で磁気治療を提供しているクリニックもあり、デパート等の一画などで無料体験会場も開かれているようです。
もし磁気治療に懐疑的な方は、このようなところを利用するなど、ご自身で体験してみると良いですね。