風邪薬ってどんな薬?

風邪薬は、総合感冒薬(そうごうかんぼうやく)の事です。
頭痛・発熱・のどの痛み・筋肉の痛み・咳・くしゃみ・鼻水・鼻づまりなどなど…。
「風邪」の諸症状の緩和に効果を出すように配合された医薬品の事です。
もう少し詳しく説明すると、風邪薬には
熱を下げて身体の痛みを抑える解熱鎮痛剤、
咳を止めて痰を吐き出させる鎮咳去痰薬、
鼻水といったアレルギー症状を抑える抗ヒスタミン剤
などが含まれており、
これらの成分が風邪の辛い症状を緩和してくれるのです。
風邪薬は、日本では多くの製薬会社から一般用医薬品として広く発売されております。
製薬会社は風邪薬の成分、配合比率を変えて熱を下げる効果が高い薬、ノドの痛みに効く薬というように症状ごとに特化した薬を作っています。
錠剤やカプセル剤、粉末、または飲料タイプなど、色々な形状の風邪薬もあります。
皆さんの家庭の薬箱の中にも、このような市販の風邪薬がひとつふたつは保管されているかと思います。
市販の風邪薬を使用する上での注意点ですが、どんな風邪薬にも適正な用法が決められています。
たとえば服用は食前or食後、1回●錠といった具合です。
正しい用法、用量を守らないと副作用や悪影響を及ぼす可能性もあるので、風邪薬に記載された用法、用量を必ず守るようにしてください。
そもそも風邪ってどんな病気?

「風邪」は正式には「かぜ症候群」と言います。
かぜ症候群は、上気道(鼻・のど・喉頭)と下気道(気管・気管支)が急性炎症の状態となる総称です。
その多くは上気道の方に起こる「上気道炎」です。
このかぜ症候群は主に「ウイルス」による感染から発症します。
原因となるウイルスは、現在8種類以上確認されており、ウイルスの種類により感染する部位や炎症が起きる部位が異なります。
したがって感染したウイルスによっては、今回の風邪は発熱がひどい、その次の風邪では熱はそれほどでもなかったのに咳が止まらなかった、というような症状の違いが現われるのです。
ちなみに風邪のウイルスは飛沫感染、接触感染などによって人から人へと感染します。
飛沫感染とは風邪をひいている人の咳や唾が持つウイルスが飛び散り、他の人の鼻やのどに侵入して感染することです。
接触感染は風邪をひいている人との直接接触だけではなく、ドアノブやスイッチなどに付着したウイルスを口や鼻から取り込んでしまい感染することです。
体内に侵入したウイルスは、鼻やのどの粘膜で増殖して炎症を起こします。
その結果、頭痛や発熱、鼻水、のどの痛みといった風邪の症状が現れるのです。
ここで重要なのは、風邪は「細菌」ではなく「ウイルス」による感染という事です。
実はウイルスは厳密には生物ではないので「抗生剤」が効きません。これが細菌との大きな違いです。
風邪のようなウイルス性の感染症の多くは重症化するものが少ないため、風邪薬を飲んで安静にしていると、次第に身体は良くなってきます。
なお、かぜ症候群は大きく「普通感冒」と「インフルエンザ」のふたつに分けられます。
一般的な風邪は「普通感冒」であり、インフルエンザは「流行性感冒」とも言います。
風邪薬は風邪を治す薬ではない

風邪薬を飲めば風邪が治るの?
ちょっとおかしな話に聞こえるかも知れませんが、かぜ症候群のウイルスに直接作用する薬はインフルエンザに対する薬のみです。
一般的な風邪(普通感冒)の原因であるウイルスに直接効く薬はないのです。
実は、風邪薬は風邪そのものを治す訳ではなく、風邪の辛い症状を抑えて楽にしてくれる薬です。
つまり、表面的な症状を抑える対症療法でしかないのです。
驚かれた方もいらっしゃるかと思いますが、これは多くの方が思い違いされてしまう事実です。
「でも、病院でお医者様が処方してくれる薬なら風邪に効くんでしょ。」
このように思われる方もいらっしゃると思います。
確かに風邪の症状が重い場合は、お医者様が独自にステロイド剤や気管支拡張剤、抗ヒスタミン薬、抗菌薬、ビタミンBなどを調合して注射を投与されることもあります。
また、細菌感染による風邪の場合は、細菌に直接作用する抗生物質が投与されることがあります。
ですが、お医者様が処方する薬も市販の風邪薬もウイルス自体に効果を発揮するのではなく「風邪による諸症状を緩和するため」に使用されるのです。
風邪薬に含まれる成分の解熱鎮痛薬や抗ヒスタミン薬、鎮咳薬などの目的は症状をやわらげる為です。
また、風邪薬も薬物ですので、副作用の可能性も考慮しなくてはなりません。
風邪薬には「眠くなる成分」が含まれている場合が多いですので、風邪薬の服用後は、自動車の運転などは控えた方が良いでしょう。
なお、鎮痛・解熱剤が含まれる風邪薬はかえって風邪を長引かせてしまう事もあります。
また、人体には体温を上げることで免疫力を上げる作用が働きます。
つまり、体温を上げることで白血球を活発化させ病原菌を倒すという自然治癒力を引き出すのです。
従ってこの自然治癒力の仕組みに逆らって、むやみに解熱剤で体温を下げてしまうと、せっかくの免疫力が落ちてしまいます。
結果的に、治癒に掛かる時間が余計に掛かってしまうのです。
ですので、比較的症状が軽い時はあえて風邪薬を飲まずに、身体を暖かく保って栄養のある食べ物を取って免疫力をうまく機能させて風邪を治す方法も取り入れるとよいでしょう。
ですが、症状が重い時、特に小さなお子さんやお年寄りの方は重症化しやすいので早めに医療機関に行って医師の診察を受けましょうね。
まとめ

風邪治療の基本は安静、保湿、栄養です。
風邪をひいてしまったときは、なるべく早く治るように、安静を保ち、保湿し、栄養を摂取することが大切です。
安静にし、水分と栄養をしっかりとっていれば、1週間ほどで自然治癒することがほとんどです。
ですが、たかが風邪と軽視しないことも大切です。
基礎疾患を持っている方は、風邪によって基礎疾患が悪化するケースもあるため、注意が必要です。
また、風邪をひくと中耳炎、気管支炎、肺炎のような二次感染による合併症を起こすこともあります。
1週間以上たっても治らないときや症状がひどくなる場合は医療機関を受診しましょう。
ウイルスに感染すると体内ではウイルスとの戦いが原因で体内の免疫力が落ちてしまっています。
そこに新たなウイルスが侵入すると、風邪をぶり返してしまうことも多いのです。
ですので、風邪が治りかけているときは免疫力が弱っている時ですので、こんな時に再びウイルスとの戦いが起こさないように、ウイルスに感染しないように気を付けて下さい。
最後に、風邪にはこれといった特効薬がありません。
風邪を治すのは薬ではなく、「自分自身の力である自然治癒力」なのです。
自然治癒力を高めるために、普段から健康に配慮して予防にも努めましょうね。