理由はわからないけど、なんとなく体がだるい。
疲れがとれない。
でも眠れば疲れがリセットされるはず…!と思ったら疲れがとれずに、まだ調子が悪い。
そのような回復できない体のだるさや慢性疲労は、もしかしかたら肝臓が疲れているかもしれません。
体のだるさと肝臓の関係についてご紹介します。
目次
体がだるい…その症状とは?
現代生活において、私たちは日常的に
「体がだるい」
「疲れがとれない」
「疲れやすい」
などの体の不調を感じている人は多いかと思います。
その症状を忙しさから放置してしまう人も少なくはないと思います。
肝臓は「沈黙の臓器」といわれるように、病気になっても自覚症状の出にくい病気です。
そんな肝臓の小さな症状のひとつが「体がだるい」、いわゆる疲れです。
例えば
●慢性的に疲れがあり、寝ても疲れやだるさがとれない
●疲れやだるさからか、目覚めが悪い
●食後に襲う強烈な眠気
●疲れやすくなった
などの症状がある場合は、肝臓の機能が低下しているかもしれないので注意が必要です。
肝臓の機能が低下する原因は?

まずひとつに、飲酒があります。
肝臓はアルコールを分解するために働くのは周知です。
適度な量のお酒は体に良い効果をもたらすといいますが、アルコールは肝臓にとっては毒になります。
解毒しようと一生懸命働き、アルコールを分解する過程で発生する活性酸素が細胞を傷つけます。
したがって無理な飲酒を続けると次第に肝臓の細胞は壊され、肝硬変へと進行します。
飲酒だけではなく、食べ過ぎも肝臓の負担になります。
肝臓は栄養を代謝する器官でもあるので、食べ過ぎると肝臓が休むことなく働くことになり、肝臓の疲れにつながります。
また、過度な食事や飲酒からとった脂質や糖、アルコールは肝臓で中性脂肪に変化します。
中性脂肪が肝臓に溜まると、いわゆる「脂肪肝」と呼ばれるものになります。
そして、こうした飲食以外にも肝機能を低下させる原因はあります。
それはストレスです。
精神的なストレスは体内に活性酸素を増加させることが知られています。
活性酸素の力は強く、肝細胞やその中にあるDNAまで傷つけ肝機能を低下させます。
同じ様に喫煙も活性酸素を増加させることが知られています。
このように肝臓の働きは多岐にわたり、日常的に働き続けています。
酷使してしまうと肝臓が疲れて機能が低下してしまうのは、
なぜ肝臓機能が低下すると身体がだるく感じるのか

ではなぜ肝機能が低下すると「疲れ」の症状がでるのでしょうか。
肝臓の重要な働きである「代謝」「解毒作用」「神経への作用」をから考えてみましょう。
<代謝>
先に少し述べたように、肝臓は食事から摂取した栄養素をエネルギーに変えたり、保存したりする「代謝」機能を担っています。
エネルギーは生命活動として必要不可欠なものです。
ですので、エネルギー不足は疲労に直結します。
体内で最も利用しやすいエネルギーはブドウ糖です。
肝臓はブドウ糖が各細胞で利用できるように、血液中の量を調節しており、ブドウ糖は余ると肝臓はグリコーゲンという物質に変えて貯蔵します。
しかし、暴飲暴食でブドウ糖が過剰になると、肝臓は「中性脂肪」として蓄えはじめます。
肝細胞は中性脂肪で満たされるとやがて「脂肪肝」になり、肝機能の低下につながります。
脂肪肝は痛みなどの自覚症状はありませんが、いわゆる「ドロドロ血」という状態になっており、血流が悪くなっています。
そのため全身に酸素と栄養分が行き届かず、疲れやすさや倦怠感の症状が出ることがあります。
また、肝機能が低下すると、胆汁酸が減少します。
これは、肝臓での胆汁酸の合成が正常に行われなくなるためです。
胆汁酸とは、腸で溶けない栄養素の吸収を行っており、例えば脂肪酸や油溶性のビタミンなどです。
油溶性のビタミンには抗酸化作用をもつビタミンAやビタミンDがあります。
肝臓は活性酸素が多く発生する器官であり、活性酸素により細胞が傷つけられることが多いのですが、抗酸化物質はそのダメージから守ってくれる作用があります。
ですが肝機能の低下により、胆汁酸が減少するとそれらの栄養素も吸収できなくなるので、さらに肝臓がダメージを受けるという悪循環となります。
このように食べ過ぎや過度な飲酒は続けていると、体内の代謝エネルギーの影響がでます。
<解毒作用>
またもうひとつの役割に体内の有害物質を取り除く、解毒作用の働きを担っています。
有害物質は血液を介して肝臓に運ばれてきます。
そして肝臓で毒性の低い物質に変え体外に排出すやすいようにしてくれます。
有害物質は体内で発生する事もあります。
直接的に摂取している場合もあり例えば食品中の添加物や細菌やウイルスの生産物質、または薬のに含まれる化学物質などで、これらも同様に解毒されます。
しかし肝機能が低下すると、有害物質が体内に残り各器官での働きを阻害します。
結果、それが疲れなどの症状となって出てきます。
<神経への影響>
肝臓は脳と神経細胞をつなぐ神経伝達物質の合成にも関わっており、例えばドーパミンなどの物質合成に関与しています。
これらの物質には精神的な落ち込みを緩和し、高揚させる作用があるため疲れを感じにくくしてくれます。
実際に肝臓の疾患や機能低下により、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモンの分泌が低下し、疲労感に影響するという事も知られています。
肝機能の改善は可能?

肝機能の低下による体のだるさや疲れは、改善できるのでしょうか。
それには肝臓に負担をかけず回復を促すことが大切です。
肝臓は多量の仕事をこなし負担が大きい反面、サポートできるポイントも多く、回復力も大きいことが知られています。
<飲み過ぎ・食べ過ぎを防ぐ>
肝臓は栄養素の代謝を行っている器官です。
食事の仕方を見直すだけでも負担を軽減することが可能です。
疲れている時のアルコールは厳禁です。
食べ過ぎだけではなく、早食いや就寝前の食事も肝臓に負担をかけます。
極力避けた方が賢明です。
また、適量な食事を摂っていても糖質ばかり摂りすぎてしまうと、脂肪肝を招きます。
糖質を減らす変わりに、タンパク質を摂るように心がけるとのがおすすめです。
タンパク質は肝臓の再生や機能をサポートする役割があります。
鶏肉や魚、豆類などは低脂肪高タンパクの食品です。
また、食品の添加物は肝臓での解毒対象となるので、疲れを感じている時はなるべく控えたほうがいいでしょう。
市販薬も同様です。
市販薬に頼るなら、医療機関を受診して適切な処方を受けましょう。
<体内の血液循環を良くする>
肝臓はよく働く分、酸素や物質などの消費が激しい臓器です。
そのため、酸素や栄養素を運んでくるのに大量の血液を必要とします。
すなわち体内の血液循環を良くすることが大切になってきます。
たとえば、軽い運動などは肝臓には適しています。
無理なく続けることが大切なので、日常生活に取り入れられるような事を始めてみるのがいいでしょう。
<休息と睡眠で血流量を増やす>
肝臓は体を横にするだけで、血流量が数十%も増すことが知られています。
食後に横になって休むことで、新鮮な血液をたっぷり送る事ができ、代謝のサポートになります。
また睡眠は体のメンテナンスの時間でもあります。
睡眠中はエネルギー消費も抑えられるため、代謝活動も最小限で済み肝臓の負担を軽減させます。
<ストレスの軽減>
生活している中でストレスを避けることはなかなか難しいことではないでしょうか。
しかし先に述べたように、ストレスは活性酸素を増やし肝臓などの細胞を傷つけます。
他に、人は過度なストレスを受けると自律神経が乱れ、交感神経の働きを活発にします。
すると拮抗関係にある副交感神経の働きを抑制してしまいます。
肝臓の働きをコントロールしているのは、副交感神経なので結果的に肝機能も低下してしまします。
また、交感神経は体を緊張状態にし血管を収縮する作用があるので、内蔵への血流量を低下させてしまします。
すると、いくら体を休めていても充分な血液が供給されずに肝臓の機能を妨げてしまいます。
このように、ストレスはできるだけ軽減させた方が、肝臓のケアにもつながります。
軽い運動や趣味に打ち込むなど、自分なりの解消法で軽減してみましょう。
肝臓に負担をかけている心あたりのある方は、このような方法を試みるだけで体のだるさも取れるかもしれません。
難しい事ではないので取り入れられる事からはじめてみてはいかがでしょうか。