脳の老化

最近ヒカル先生は困った現象を抱えております。
それは文字を書く時ですが、「あれっ?この漢字どう書くんだっけ?」と簡単な漢字であってもなかなか思い出せなくなり、ついついスマホやパソコンで調べてしまうのです。
パソコンで文書を作ることが多くなった時代とは言え、人前で手書きする機会はもちろんあります。
さすがに平仮名でごまかすには限界があり、普段からもうちょっと手書きの練習をしておこうかなと思う今日この頃でございます。
そんなこんなで今回のコラムのテーマを考えていたのですが、ヒカル先生の記憶力のためにも、脳のトレーニングを取り上げることにしました。
何と言っても、脳は私達の身体をコントロールしている司令塔です。
また、老化は身体だけではなく脳にも訪れます。
脳が老化するとどうなるかと言うと、ヒカル先生のように漢字が急に分からなくなる、人の名前を間違えてしまうといったことが多くなります。
でも、このような物忘れを自覚しているのであれば年相応の物忘れです。
病気とか認知症とかを過剰に心配するほどではありません。
大切なのは、いつまでも若いとは思わずに自分の年齢を受け入れること。
そして、加齢による脳の機能低下を補うトレーニングを始めていけば良いのです。
なにしろ最近は、スマホアプリや携帯ゲームにも「脳のトレーニング」が流行っていますからね。
でも、ヒカル先生のコラムの読者は、ヒカル先生と同じくパソコンやスマホはいじってもゲームはやらないって方が多いでしょう。
そこでヒカル先生は、アナログでありながら脳を鍛える方法を6つ紹介しますから、日頃から老化の予防に取り組みましょう。
記憶の仕組み

脳トレの前に、人間の脳がどのように記憶していくか、そのメカニズムから説明しておきましょう。
記憶には3つの段階があり、「ワーキングメモリ」、「短期記憶」、「長期記憶」という順番で脳に記憶されます。
<ワーキングメモリ>
ごく短時間のみ保持する記憶をワーキングメモリと呼び、脳の前頭前野(ぜんとうぜんや)の働きです。
例:日常会話のなにげない会話などの記憶
<短期記憶>
ワーキングメモリよりも少し長く留める記憶であり、脳の海馬が重要な役目を果たします。
例:普段なにげなく目でみている風景などの記憶
<長期記憶>
短期記憶の一部の記憶が長期記憶として脳に定着します。
長期記憶は脳のハードディスクである大脳皮質全体に蓄えられます。
例:自宅の名前、住所などの記憶
このように、ワーキングメモリ、短期記憶、長期記憶は、脳の中でも担当する部位が違います。
認知症は別ですが、加齢による記憶力低下では、長期記憶である自分の名前や住所はまず忘れることはありません。
つまり加齢による記憶力は、いかにワーキングメモリと短期記憶の連携を保つかということが重要になります。
そのためには最初の段階であるワーキングメモリ、脳の一部である前頭前野がカギを握っているなと、勘の鋭い皆さんは睨んだことでしょう。
では、前頭前野についてざっと説明をしておきましょう。
<前頭前野>
前頭前野は、脳の中でも前の方、額に近い部分に位置します。
ワーキングメモリの他に理性や感受性、好奇心、抑制心など、私達の心をコントロールしている部分です。
つまり人間ならではの複雑な思考を司る部分であり、前頭前野が衰えると記憶力だけではなく、頭の回転が思うように働かないと感じるようになります。
記憶が復活するアナログ式トレーニング

記憶力が復活するという脳トレーニングと聞くと、それはもう大変で凄いことのように聞こえるかも知れませんが、実はそんなに特別なことではありません。
毎日の暮らしの一コマが脳トレになるのです。
<文字を書く習慣>
最初に紹介するのは、ヒカル先生が冒頭でちょっと触れた文字を手で書く方法です。
脳の活性化には、「パソコンで文字を打つ」より、「自分の手で文字を書く」方が、脳の広い範囲が活性化し記憶力も高まります。
スマホのカメラや録音機能は便利ですが、脳を活性化する意味ではボールペンとメモ帳でメモを取る習慣はいつまでも残しておきたいものですね。
<料理をする>
栄養バランスの良い食事は健康の基本ですが、料理を作ることも脳のトレーニングです。
献立を決めて材料をそろえる
食材を洗う、切る、焼く、ゆでる等の調理
彩りを考えながら盛り付ける
料理をすることは複雑な作業であり、一連の流れを効率よく行うために脳は活発に働きます。
<本を音読する>
本を読むだけでも脳は活性化しますが、声に出して読むと脳は更に活性化します。
声を出すという行為は、それ自体が運動です。
脳の中には運動を司る「運動野」があるのですが、前頭前野と一緒に運動野も働きます。
音読のポイントは、できるだけ速く正確に声に出して読むことです。
また、脳の活性化という意味では、「難しい本」、「字が大きく読みやすい本」など本の内容や好き嫌いは関係がありません。
ですので、あえて「難解でつまらない本」に挑戦する必要はありません。
自分が「楽しい、おもしろい、ためになる」と思える本で取り組みましょう。
<簡単な計算>
こちらも本と同様に難しい計算をする必要はありません。
脳の活性化には、1+2=3というような一目でパッと答えが浮かぶ単純な数字の計算が向いています。
ポイントは音読と同様に、できるだけ速く正確に計算することです。
小学生が使う計算ドリルなどが手元にあれば、それを使って毎日計算していくと良いでしょう。
ちなみにヒカル先生は、散歩の途中ですれ違う車のナンバーを見て、4桁の数値を足し算しています。
これは運転中にやってはいけませんよ。散・歩・中にですからね!
<楽器を演奏する>
音楽には心が震えるような感動、疲れを癒す感覚、身も心も弾む爽快感等があります。
この音楽を作り出すことはもちろん、音楽を楽しむことは人間ならではの能力です。
ですが、美しいメロディーにうっとりと耳を傾けリラックスしているときは、脳の活性化という意味ではよくありません。
リラックスしすぎて前頭前野の血流が低下してしまいます。
ではカラオケで歌うことはどうかと言うと、こちらも前頭前野を活性化するには至りません。
どうすればよいかと言うと、自分自身で楽器を演奏することが一番です。
楽器を演奏するには楽譜を読む、メロディーをイメージする、実際に楽器を奏でてイメージ通りに演奏するという総合的な作業です。
前頭前野、運動野だけではなく、視覚や聴覚を司る領域も活性化、脳が活発に働きます。
<絵を描く>
最後に紹介するのは絵画です。
絵画も音楽と同じように、見るだけではなく自ら筆を執って描くことで脳が活性化します。
描こうとする対象を決める、じっくりと観察して描く、色を表現する。
これらの創造力は前頭前野のもつ働きのひとつです。
なお、最近はパソコンで絵を描く方も多いですが、脳トレという意味なら紙と鉛筆、筆を使って描くようにしましょう。
お天気の良い日なら、絵にしたい風景を探しに身体を動かすチャンスにもなりますからね。
まとめ

いかがでしたか。
今回はヒカル先生の漢字忘れがひどいということもあって、脳を若返らせて記憶力を復活する、6つのアナログ式脳トレーニングを紹介しました。
ですが、始める順番が決まっていたり、6つ全部をやらなくてはいけないということはありません。
皆さんが興味ある方法、簡単にできる方法を普段からコツコツとやっていけばよいのです。
ちなみにヒカル先生は、まずは手で文字を書く習慣と簡単な計算で、漢字忘れを克服していくつもりです!
最後に今回のコラムでは、たびたび「脳・前頭前野が活性化」という表現が出てきます。
これは脳トレをしているときに脳の血流を計測すると、脳への血流があきらかに増えていることが分かります。
つまり、血液から脳に栄養素や酸素がたくさん送られている状態なのです。
ヒカル先生がおススメする電気磁気治療器は血行促進という効果もありますから、脳トレーニング中に磁気を掛けたらもう鬼に金棒ですね。
ヒカル先生はこれでやってみます!