関節リウマチといえば、免疫の異常により主に手足の関節が腫れたり痛んだりする病気です。
日本のリウマチ患者数は100万人に及ぶといわれ、年々確実に増えています。
関節リウマチの治療には、主にステロイドや抗リウマチ薬、生物学的製剤などが用いられます。
そして治療の目的はリウマチの「寛解(病状が治まっている状態のこと。完治ではない)」であり、関節が破壊されるのを防ぐ事にあります。
関節リウマチの原因や予防は現在のところ解明されていません。
ですが、検査方法や治療方法の進歩により早期治療で症状や進行のない寛解状態となるケースも増えてきています。
より良い治療を受けられるのは喜ばしい事ですが、その一方で薬物治療は副作用の不安があります。

目次
関節リウマチの治療薬とその副作用とは?

リウマチの治療薬は主に
● 高リウマチ薬
● 生物学的製剤
● 非ステロイド系抗炎症剤(痛みどめ)
があります。
ステロイド
ステロイドは高い抗炎症作用があります。
しかしその効果は限定的であり、様々な副作用を伴います。
主な副作用は胃潰瘍、骨粗鬆症、糖尿病、高血圧などです。
また長期に服用を行うと体内でステロイドホルモンを作る副腎が、薬に頼ってステロイドホルモンを作らなくなります。
そこでステロイドを中止するとリウマチの痛みは強く出るだけでなく、異常なだるさや血圧低下、意識障害などが出ます。
ですのでステロイド剤は医師の指示のもと、適切な減薬や中止が必要です。
しかし副作用が多いと言われる一方で腎機能が悪い人やアレルギー体質の方、また体力が無く痩せている方など、他の薬が使えない場合ステロイドのみが最後の砦になる事があります。
また、即効性があり痛みや腫れに高い効果があるので、痛み止めが効かない場合の補助的な役割もあります。
痛みや腫れをコントロールする為にも適切な服用で、ステロイドのよい効果を出す効果的な使い方が大切かと思います。
抗リウマチ薬
メトトレキサートに代表される抗リウマチ薬。
リウマチによる関節の破壊を抑制し進行を抑える効果が期待でき、その効果は服用してから2〜3ヶ月後に出てきます。
メトトレキサートは他の抗リウマチ薬にはない即効性があり早期治療から広く用いられています。
副作用として、肝障害や間質性肺炎、胃腸障害や造血器障害などがあります。
また感染症にかかりやすくなるとも言われています。
特に高齢者や腎障害、肺に問題がある人は副作用が出やすいと言われています。
副作用を軽減する薬と併用する場合が多く、適切な服用が大切です。
生物学的製剤
関節リウマチの炎症を引き起こすサイトカインという物質の働きを妨げ、関節破壊の進行を抑える働きがあるのが生物学的製剤です。
従来の抗リウマチ薬は痛みや炎症は抑えても関節破壊の進行を完全に抑える事はできなかったので画期的な薬剤と言われてます。
副作用は、免疫を抑制する作用があるので重篤な感染症にかかりやすく治りにくい点にあります。
また結核や悪性リンパ腫の発生、他に皮膚に痛みのあるヘルペス(帯状疱疹)が出る場合もあります。
生物学的製剤は高価な薬剤です。
健康保険適用で月額1万5千円 ~3万円が薬剤だけでかかります。
そして他の薬と同様に患者さんによって効果のある薬が異なり、効果のあらわれない方や効果が弱くなる方、また副作用で中止になるケースもあります。
ですので医師と相談をしながら使用をしないと症状が悪化したり関節破壊が進んだりするので、注意が必要です。
非ステロイド系抗炎症剤(痛みどめ)
炎症を起こす元になるプロスタグランジンという物質の働きを抑制し、痛みや炎症を緩和する効果のある薬剤です。
痛みや腫れなどに対しての即効性はありますが、リウマチの進行を抑える効果は無いため、他の薬と併せての使用となります。
副作用として胃炎や胃潰瘍がありますが、そのような副作用が出にくい薬が使用可能になり、選択肢が増えています。
以上のように関節リウマチの治療は薬物療法が用いられ、「進行を抑える薬」と「痛みや腫れなどの症状を和らげる」薬があり、それぞれ特徴やリスクが異なります。
リウマチ治療に導入されはじめている磁気治療とは

リウマチのような関節の変形はありませんが、全身に激しい痛みが起こる線維筋痛症という病気があります。
この病気も病因が不明である為、根本的な治療法がなく症状に応じた対処療法がとられています。
そしてリウマチと同じように使用する薬には副作用が伴います。
また、リウマチや線維筋痛症は薬を飲めば症状が治る、進行が緩和されるという考え方ではありません。
生活環境や生活の仕方自体をよく再考して身体機能全体を底上げする事も必要です。
リウマチ性疾患における専門医療の病院では、一部ですが電気磁気治療を取り入れている所があります。
主に薬を飲んでも良くならない方や、副作用の為に薬を続けられない方などに勧められている治療法です。

磁気治療の効果は「血行促進」です。
血行が促される事により代謝が上がり、疲労物質の排除、そして新鮮な血液が隅々まで流れる事により免疫細胞も行き渡るので、免疫力がアップします。
そしてリウマチにおける磁気治療の最大の利点はステロイドホルモンを体の中で作られるように促すことです。
これにより薬で補わなくても体全体の免疫バランスを整えてくれます。
また、磁気治療そのものに関節の炎症を抑え、痛みを鎮める作用があります。
磁気治療により血行が促されると、炎症を促進するサイトカインという物質や痛み物質が排除され、関節の痛みが和らぎます。
このサイトカインには所蔵鉄が上手く利用できなくなったり、消化管での吸収抑制が起こり貧血を起こすといわれています。
現にリウマチの方は貧血が多いといわれています。
このような症状に対しても、磁気治療は内臓全体を刺激する事で吸収作用が高まるので身体機能の向上にもなります。
薬には大きな効果が期待できるという点があります。
ですが、免疫に直接作用する薬もあるので免疫力低下は避けられず身体の抵抗力は弱くなります。
磁気治療を行う事で、身体のコンディションが整い身体全体の機能が上がるので生活水準の改善にも繋がります。
治療における基礎治療

治療の中で睡眠や栄養、局所の安静、また冷えや湿気から身体を守るなどの自身が行う基礎療法も非常に大事です。
これらの基礎療法は薬や他の治療の効果を十分に引き出す為の土台であり、身体の機能維持や免疫バランスの調整に繋がります。
また、基礎療法をしっかり行う事で自身の病気に対する不必要な不安は解消されていくものです。
病気の知識を持つ事で、様々な事態に置いて賢い判断ができるようになります。
自身だけでなく周囲の方の理解とサポートがとても重要になってきます。
関節リウマチを発症すると病気や薬の影響で些細な事が体への負担に繋がり、感染症を招く事があるので日常生活で出来る感染予防も大切です。
リウマチの薬物治療の進歩と安全性における問題点

リウマチに関わらず、薬には副作用がつきものです。
しかし、リウマチの治療薬はその開発と積極的な治療で関節破壊や機能障害の抑制において、飛躍的な進歩をもたらしたといわれています。
一方で免疫抑制下で増加している副作用に対しては、治療時のヒアリングとコントロールが必須であるといわれており、防げない副作用です。
そして、人により薬の効果の有無や副作用や医療費などの理由で満足な治療を受けられない事もあります。
そのような人が受けられる新しい治療法の開発も必要だといわれています。
今後は治療法や治療選択にあたりその人に適した医療をスムーズに受けられる事が課題なのではないでしょうか。
