コロナ渦による長い巣ごもり生活が続き、外出自粛やテレワークによって歩かない時間が増えてしまった2021年。今度は運動不足が深刻な健康問題になってきています。
新型コロナの意外な影響

首都圏は2週間の延長があったものの、3/21で新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が解除になりました。
2021年1月は11の都府県が緊急事態地域に指定されましたが、県独自の発令もあり、多くの方々が長い巣ごもり生活を余儀なくされていたことでしょう。
千葉県住まいのヒカル先生は新年からずっと会社と自宅の往復、お出かけは日常品の買い出し程度の生活が続きました。
流石にこのような生活にも飽き飽きでしたから、4月は心地よい陽射しの元ちょっと遠くまでお出かけしたい気分です。
しかしコロナ渦はまだまだ収まっていませんから、節度はしっかりと守らなくてはいけませんね。
それにしても新型コロナは私達に様々な影響を与えました。
都市部にお勤めの方はテレワークという働き方にシフトされた方も多いことでしょう。
ちなみにヒカル先生の友達は昨年の2020年4月に転職したのですが、転職後すぐに緊急事態宣言でテレワークとなり、2020年に会社に出勤したのは3回しかなかったそうです。
3月の緊急事態宣言解除後もテレワークが続くそうですが、まぁ出勤せずとも仕事に影響がなければ会社的にも都合が良いのでしょう。
ところが、そんな彼がこんなことをヒカル先生にぼやくのです。
「テレワークは出勤がないのは楽だけど、ほとんど歩かなくなった」
確かに彼の顔や体は以前よりもふくよかになって、明らかな運動不足が見受けられます。
彼が会社に出勤するとしたら電車通勤で約50分、そのうち15分は歩きですから往復で30分、3000歩は歩くはずです。
なるほど、テレワークには運動機会を損失しやすいというデメリットがあるわけですね。
しかしながら、これはなかなか困った問題ですよ。
実はコロナ渦の脅威がなかった2018年、厚生労働省は「身体活動・運動を通じた健康増進のための厚生労働省の取組み」を公表しました。
この当時で運動不足が原因で毎年5万人が死亡していると言うのです!
このまま運動不足人口が増えていけば、5万人を超えてしまうことになるでしょう。

日本人の平均歩数

健康の3本柱は「禁煙」、「バランスの良い食事」、「適度な運動」です。
その人の体力により適度な運動は変わってきますが、ヒカル先生は万人にも適した運動としてウォーキングを勧めています。
有酸素運動のウォーキングは、特別な道具や場所も必要なく一人でも可能。
体力に合わせて早歩きをする、距離を延ばすことで十分な運動効果を得られます。
ちなみに厚生労働省調査では、男性では9000歩(65歳以上は7000歩)、女性では8500歩(65歳以上は6000歩)を1日の目標歩数としています。
いかがですか、皆さんはこの目標歩数をクリアしているでしょうか?
・・・健康マニアのヒカル先生はもちろんクリアしていますが、この目標歩数はけっこう高いハードルだと思っています。
例えば歩幅を60cmとしたら、4~5キロメートルは歩かないといけません。時間にしたら1時間以上になるでしょう。
ウォーキングやスポーツに取り組んでいる人や仕事柄歩くことが多い人は別として、意識しないとこの目標歩数クリアは難しいです。
その裏付けとして次の表をご覧ください。

これは厚生労働省の「平成28年国民健康・栄養調査報告」にて公表された、都道府県別の男女平均歩数です。
男性トップは大阪の8762歩、女性トップは神奈川の7795歩ですから、男性9000歩、女性8500歩には届いていません。
ちなみに表には記載されていませんが、男性平均は7779歩、女性は6776歩です。
ところで皆さん、この表をよく見ると都市部は比較的上位に、地方は下位に位置するような気がしませんか。
東京は男性4位・女性5位、大阪は男性1位・女性7位、神奈川は男性9位・女性1位です。
都市部は交通網が充実して電車やバスを利用する際に自然と歩く、地方部は大人一人に車一台の世帯も多く歩く機会が少なくなると推測されています。
ある調査で、「300m先のコンビニまで歩くか、それとも車を使うか」と質問したら、地方部ほど車を選択する割合が高かったそうですからね。
う~ん、そうするとヒカル先生はテレワークで歩かなくなった人だけではなく、短距離でも車を使ってしまう人達が歩きたくなるような話をしなくてはなりませんね。
歩かないリスク

私達人間は30歳ころから少しずつ筋肉量が減っていきます。
平均では1年に1%ほどの減少と言われていますから、20歳をピークとしたら60歳になるころには40%も筋肉が衰えてしまうのです。
また上半身よりも下半身の筋肉が低下しやすい傾向があります。
下半身の筋力が弱くなると、ちょっとした段差でつまずいて転びやすく怪我のリスクが高まります。
その怪我によって運動が困難になり、さらに運動習慣が遠のくことにも繋がります。
また全身に血液を送る心臓は筋肉の塊とも言えますが、運動不足は心臓の機能を弱め血行不良を引き起こします。
筋肉は血液から栄養素を受け取っていますから、血行が悪いと筋力も低下しやすくなります。
つまり運動不足はやがて体全体の筋力低下となり、一直線に寝たきりへの道を進んでいると言っても過言ではないのです。
また短距離でもついつい車を使ってしまって歩かないという方は、車に与えるダメージを考えてみましょう。
自動車メーカーでは「シビアコンディション」と呼ぶ、車に大きな負荷を与える走行を明記しています。
・走行距離が多い(年間2万km以上)
・砂利道や雪道などの悪路距離が多い
・山道、坂道の走行によりブレーキを頻繁に使う
・1日に2時間以上のアイドリング状態
・渋滞などで15キロ以下の低速走行が多い
もう誰がみても明らかに車が傷む乗り方ですね。
そんなシビアコンディションには、なんと「短距離走行を繰り返す」も明記されているのです。
短距離走行とは「8キロ未満、エンジンが暖まる前に停止する」ことですが、エンジン内で発生した水分が蒸発せず、エンジンオイルを劣化させる原因と言われています。
車は都市部よりも地方部の方が必需品、その車が壊れてしまえば不便極まりなく、お財布にもやさしくない事態です。
高額な車を労わる意味でも、短距離ではできるたけ車を使わず、歩きや自転車で用を済ませてはいかがでしょうか。
まとめ

テレワークや自動車は文明の大きな恩恵ですが、その便利さにあぐらをかくと運動不足になりかねません。
テレワークの方は通勤に掛かる時間が空くわけですから、この時間をぜひウォーキングに充ててみてください。
なお1日の目標歩数は累計です。
無料の歩数計アプリをスマホにダウンロードしておけば、簡単に歩数管理できます。
ちなみにヒカル先生は毎日1万歩を目標に歩いています。もし足りない場合は休日で取り戻すと、日々のモチベーションアップにも繋がっていますよ。
こちらのコラムも参考に
「メタボ予防はウォーキング! 毎日の歩数を簡単チェック」
今回の最後に、1章で紹介した運動不足が原因で毎年5万人が死亡しているという厚生労働省のデータについて補足しておきましょう。
集計表をよく見てみると、運動不足の場合は循環器疾患と悪性新生物の合算で約5万人になっていることが分かります。
循環器疾患で死の危険性が高い病気と言えば、脳卒中や心筋梗塞などが代表的です。悪性新生物はいわゆるガンですね。
となれば、運動不足を解消するだけで、循環器疾患と悪性新生物のリスクを低減できるということです。
つまりウォーキングは「健康になって、車にも優しく、お金もかからない」と一石三鳥。
これはもう明日から、いやコラムを読み終わった今から歩きたくなってしまいますよね。