TMS治療が保険適用に

時は2019年6月1日に遡ります。
この日は今後の医療に新しい道が開けた記念すべき日となりました。
なにしろ、2019年6月1日からTMS治療が保険適用されたのですから!
ここ2ヶ月、ヒカル先生は皆様に早くこのビッグニュースを伝えなきゃという強い想いがありました。
そしてこのビッグニュースから2ヵ月となる今日、ヒカルは皆様に今回のコラムをお送りします。
さて、TMS治療はこのサイトのコラムでもたびたび取り上げておりますが、2017年12月にお送りしたコラムでは、TMS治療は2018年に保険適用される予定でした。
正式に保険適用されるのは果たしていつなのか、気になっていた方は多いことでしょう。
でも保険適用されたというニュースが無いまま、2018年は過ぎ去ってしまいました。
そんなおり帝人ファーマ株式会社によるプレスリリースにて、今年6月1日からTMS治療が保険適用となり、6月5日よりTMS治療装置「ニューロスター」を発売するとの発表がされました。
念のため、TMS治療って何?という方もいらっしゃるでしょうから、TMS治療について簡単な説明をしておきます。
TMS治療とは、磁気により脳を刺激してうつ病などを治療する最新医療のことです。
うつ病はいまや現代病とも言われ、日本では100万人に迫る患者数、病院を受診していない人を含めれば250万人以上とも言われています。
うつ病の治療法としては薬物療法が一般的ですが、効果が見込めるのは2/3ほど、残り1/3の方は薬で改善が見込めませんでした。
そのため薬に変わる治療法として、アメリカで実績のあるTMS治療が注目されるようになり、令和元年の2019年6月から保険適用されたという訳です。
うつ病などにより社会から切り離されてしまった人達が、再び社会に復帰できる希望の光が見えた記念日とも言えるでしょう。
・・・でもこんなビッグニュースなら、なおさらヒカル先生は早く伝えるべきでは?とお思いになられた方も多いことでしょう。
なにしろTMSは「Transcranial Magnetic Stimulation」の略、Mは磁気を意味しますが、「磁気と言えばヒカル先生」と勝手に自負しているくらいですから。
でもヒカル先生は、あえて2ヵ月間様子をみることを選択しました。
それはTMS治療を行う前に、知っておかなければいけない注意点があるからです。
TMS治療は保険が効かない?

TMS治療1回の治療費は12000円、治療回数30回まで、保険適用期間は6週間という規定があります。
自己負担割合が3割の方ならば1回3600円ですので、30回で36万円のところが10万8千円で済みます。
自己負担割合が1割、2割の方ならば、さらに金銭的な負担は小さくなりますね。
しかしながら、TMS治療が保険適用できる医療機関は限られており、お近くの病院でTMS治療を行っていたとしても、そこでは自由診療になるかも知れません。
これには皆さんは「何故?」と不思議に思われたでしょう。
実は、TMS治療装置は何種類かあるのですが、保険適用が認められた機器は、帝人ファーマ株式会社が独占販売契約を締結している「ニューロスター」のみです。
そしてTMS治療を実施される医療関係者の方へは、日本精神神経学会が主催する「rTMS実施者講習会」と、帝人ファーマ社が主催する実技講習会の受講が求められています。
つまりTMS治療を保険適用するには、病院はニューロスターを導入して、医師は講習を修了するのが絶対条件となります。
また、病院側には精神科の救急対応可能という条件がありますので、このような厳しい条件をクリアできるのは、必然的に大都市にある大学病院や特別な専門的施設に限られてしまいます。

※引用・帝人ファーマ株式会社HP
TMS装置ニューロスター
TMS治療を受ける患者にも条件があり、薬物治療で回復が見込めない「難治性うつ病」と診断された方のみが保険の対象です。
軽症のうつ病患者、他の病気によりうつ症状を発症した場合などは、残念ながら保険を適用することができません。
よって現在では、TMS治療の保険適用は限定的と言わざるを得ません。
理由としては、TMS治療はさらにデータを集積していく必要があり、より有効性や安全性や効果を高めなくてはならない、という国の方針があります。
しかし、アメリカで実績のあるTMS治療により救われる人達がいるわけですから、まずは世に広めていこうと言う意味もあったのでしょうね。
TMS治療を受けるには

磁気には血行を促進する効果がありますので、TMS治療は脳の特定部分に磁気パルスを当てて血流を増加、脳機能の回復を目指します。
うつ病に限らず、脳機能の低下により発症する病気に対してもTMS治療は利用されています。
例えば、脳卒中の後遺症による麻痺や失語などの脳障害、認知症、パーキンソン病、パニック障害、片頭痛や耳鳴りなどです。
ですがTMS治療を受けられるかどうかは、医師の診断が必要です。
血液検査はもちろん、CT検査やMRI検査、心理テストなどを用いて適正を審査し、場合によってはTMS治療でも改善が見込まれないと判断されるケースもあります。
実際にTMS治療が行われるとしても、治療は1回では終わりません。
標準的な治療コースは、磁気パルスを30~40分を当てる治療を週5回、それを6週間に渡り実施しますので、合計で30回に渡ります。
TMS治療は副作用が少なく痛みや苦痛がほとんどないと言われていますが、治療初期は叩かれたような痛みや不快感が起こることがあります。
しかし、TMS治療を続けていくうちに身体が慣れていきますから、治療中に読書や仮眠などもできるようになってくるそうです。
ヒカル先生はTMS治療を受けたことはありませんが、家庭用の医療機器である電気磁気治療器でも同じような現象が起こります。
でも、ヒカル先生が聞くところによると、電気磁気治療器よりもTMS治療の方がきついとおっしゃる方が大半です。
電気磁気治療器が発する磁気はシャワーのように拡散するのに対し、TMS治療の磁気はレーザービームのような磁気パルスです。
おそらくはこの当たりが影響しているのでしょうね。
TMS治療の効果は、早い人で5~10回位の治療を行ったとき、通常は10~20回位行ったときに実感できる場合が多いようです。
でも、ご自身で実感することは意外に分かりづらいかも知れません。
これは電気磁気治療器を使い始めた人にも言えることなのですが、ご本人よりもご家族など周囲のほうが変化に気付きやすいです。
周囲の方から、「表情が明るくなったよ」「よく話すようになったね」などと言われて、自分自身の変化に気付くケースが多いでしょう。
まとめ

いかがでしたか。
保険適用が決定したTMS治療ですが、現段階では限定的と知って残念に思う方も多いことでしょう。
しかし今は限定的であっても、データが集積し研究が進むに従い、より身近な医療になっていくことは間違いありませんから、今後の発展に大いに期待するとしましょう。
最後に、TMS治療の改善効果の割合にも触れておきますが、薬物治療が効かない方の3~4割に効果が見込めると言われています。
この3~4割という数値を高いとみるか低いとみるか、意見が分かれるところではないでしょうか。
しかしヒカル先生は、効果を感じる3~4割の人、効果を感じられない6~7割の人には大きな違いがあることに気付きました。
例えば、Aさんは「よくなりたいから信じて続けてみる」と強く願っています。
対してBさんは「〇〇さんが勧めるから仕方なしにやってみる」と言う感じです。
皆さんは、効果が表れやすいのはAさんとBさんのどちらだと思いますか?
・・・皆さんがご想像したのは、Aさんですよね。
この例の通り、効果を感じる3~4割はAさんのような人、効果を感じられない6~7割の人はBさんのような人なのかも知れません。
まぁ、これはあくまでもヒカル先生の例え話ですけどね。
でも、磁気は刺激もなく目にみえないエネルギーですから、話だけで効果を信じろというのは無理、との意見だって一理あります。
そんな方は、まずはヒカル先生がお勧めしている電気磁気治療器による磁気療法から試してみてはいかがでしょう。
磁気療法はTMS治療が話題になる前から世に広まっており、電気磁気治療器の発する交流磁気ならば脳の血流改善だって可能です。
この電気磁気治療器は、今やネットで購入やレンタルできますから、実に便利な時代になったものです。
ご自宅で磁気療法ができて効果が見込めるとなれば、通院の手間と費用も省けます。
うつ病、脳障害、認知症などがお悩みでTMS治療をお考えの方でしたら、まずはお手軽な磁気療法から試してみる価値は絶対にあると思いますよ。